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milestone ブログ

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「100%の純粋」

『100%の純粋』

第一話 「出会ってしまった二人」

私はその時疲れていた。
当時就職活動という波に揉まれていて、右も左も解らない状態だった。
だが、周りからは勉強会やイベントの開催を頼まれる。
全てこなしていた私は一部で有名になってしまった。
名前だけが一人歩きする。

そんな不思議な体験をしていた。
だれもが私をすごい人だと思って接してくる。

どこか私を知らない世界に行きたい。
そう思って他人が主催する小規模な勉強会に参加してみた。

「あ~ よくきてくれました。また面接官役してくださいよ~」

なんで同年代なのに、こういわれるんだろう~
そう思いながらまた面接官役をはじめる。

だが、そこに大学の知り合いがいた。
私の大学はあんまりレベルも高くないし、こういう勉強会に参加してくる人も少なかった。
だから珍しく、かつ、うれしかった。
友達を連れてきているというので紹介してもらう。

彼女の名はH子。
かなりかわいい分類である。

雑談は長くなかった。
すぐに面接官役がはじまる。
全員を結局見ることになり、アウトプット、改善点、注意点を一人ひとり作成していた。

大学の知り合いはなじめないのか友達と二人でどうしていいか解らず浮いていたので、すべて終わってから声をかけてみた。
何気ない行動であったが、それが全てのはじまりであった。

第二話 「優しさのかけちがい」

ご飯を食べに行くのに、一人ついてきた。
彼は勉強会主催者の仲間の一人。
かなり女癖がわるくて有名だ。

だが、その勇名なのも解る位容姿はいい。
4人で話しているうちに意気投合してしまい、これからも連絡を取り合うようになった。

今まで勉強会を主催していても似たような事がたくさんあった。
だが、何かいつもとちがう予感が・・・

そんな中、今度勉強会を主催するから、二人に声をかけてみた。
答えは、恐いからいやだというものであった。

確かに、知らない人の集まり。しかも、ある程度、仲間内の輪がある所に入るのは難しいというのも解るので、その時は気にしなかった。
だが、H子は見て欲しいけれど、参加はできないといってきた。
その時よせばいいのに、私は

「じゃあ、みてあげるよ」

といってしまった。

H子は、リアクションも大きく、接する相手を楽しませる事の出来る人物である。

自己分析を行っていく中で色んな事が見えてきた。
自分に自信がない事。
周りを気にしすぎて、自分が出せない事。
その弱みを隠すためにテンションを高くしようとしている事。

だが、その中で彼氏についての話しがはじまった。
どういう流れでそうなったのか、どうして話すようになったのか、そういう事よりもどんどんH子にひかれていっている自分が解った。

第三話 「H子の彼氏」

H子が語り出した彼氏の話しは、まとめるとこうであった。

H子と彼氏は遠距離恋愛中である
彼氏は現在無職で、H子は彼氏にお金をかしている
彼氏はパチンコにはまっていて、デートは彼氏がパチンコをしている横である
彼氏はすぐだまるために会話を続かせるために気を使うのがいやだ
遠距離のせいか、すぐにエッチを求めてくる

だいたいこういう内容である。
話を聞いていると、どうしてH子がこの彼氏といまだにつき合っているのかが解らない。
だが、別れたいのかどうかの問いかけに対しては、H子は沈黙する。
ただ、口からでる事は
「彼は私がいないと駄目だから」である。

どこを好きになったのか、それは今もかわらないのか、色んな角度で聞いていった。
彼女の口から出たのはこうだった。

つらい
彼氏に変わって欲しい
前好きだった彼氏のように戻って欲しい

であった。

相手を変える事はむずかしい。
自分がかわるか、環境をかえるか。
それくらいしかないんじゃないのかな~
ぼそっと私の口から出たのはこの言葉であった。
歯車は動き出した。
それはいい事なのか、わるい事なのか。

第四話 「曖昧な関係」

H子はまだ悩んでいた。
でも、ストレスを発散したいのがよく解った。
そして、二人で出した答えは、気晴らしに出かけるという事であった。

それから、色んな所にいった。
おいしくて、有名なラーメン屋。
ちょっとおしゃれなイタリアン。
ビリヤードなんかもしたり、カラオケにもいった。

あんまり連絡をしてこない、彼氏よりも、H子は私との会う、連絡する事が多くなってきた。

勉強会も下火になってきて、就職活動も順調な二人はこの上なく幸せだった。
でも、この幸せは長く続かなかった。

H子に電話をしていた時に「それ」ははじまった。
「どうしたの?」
様子がいきなりおかしくなった彼女にそう聞いた。
「彼氏から電話だ。切るね」

そういって沈黙だけがいんいんとひびいいた。
妙に虚しい、自分はこの時、恋に落ちている事に気がついた。

そして、その後、私は彼女に告白をしようと決めた。もう、曖昧な関係は終わりにしたい。

第五話 「不協和音は止まらない」

私は彼女が最終面接を迎えるにあたって、再度、就職相談をはじめた。
口実かもしれない。
けれど、内定をもらって欲しいと本気で願っていた。

そこで、少し話してみた。
「関西で就職する気はないの?」
すこし戸惑って、H子は
「最近、それもいいかな~」っとちょっと遠い目をして話した。
「でも、やはり実家にもどりたいかな~」
心臓の音がやけにうるさい。
弟が心配の話し、両親が心配な話し。
いつしか、時間が過ぎて、帰れない時間に。

私はそのまま、H子の家にとまった。
変な緊張感。

夜中のテレビを見て、まぎらしながら、変な時間が過ぎていく。

・・・・・

沈黙になり、妙に近くにいたH子を見つめてみた。
そして、そっと近づき・・・
H子が笑った。
そして、話し出した。
なんでもない雑談。

そして、緊張の中少し眠った。

第六話 「止まらない鼓動」

朝、目覚ましとともに、起きる。
H子がバイトに行くからだ、妙な緊張感で終わった夜のせいか、寝ぼけているH子を抱き締めてしまった。
そして、その唇にそっとふれてみた、唇で。
だが、いやがらなかったH子は普通に着替えて、一緒に部屋を出た。

中途半端な二人から、一歩踏み出してしまった。
それは、愛というには、あつくなく、恋というには、透明でなさすぎた。

だが、不思議とまたH子と私は会って、色んな所にいくし、電話ではなしもする。
そして、彼氏からの電話が来れば電話は終了する。

選んで欲しかった。
中途半端でいれないから。

H子の答は迷っているようであった。
まだ、選び切れていないのに、会うのもつらいというH子に私は距離をあけた。

そして、一通の長いメールを書いた。
それは、H子がつらいのが解るから、うれし泣き、そして、楽になれるように考えて、考えて書いたメールであった。
それから数日後、もう一度H子と会った。

すっきり出来ていない、H子の表情がまだ結論が出ていない事を現していた。

だが、その日、大きな変化を起こしてしまった。

第七話 「kiss」

いつものように、デートをして、そして、彼女の家に二人でかえる。
家についた時、ふいに抱き締めてしまった。
だが、H子はさらに抱き締めかえしてくれた。

私にはそれだけで十分だった。
重ねあうようにキスをして、気がついたら、お互い泣いていた。
あの涙はわからない。
けれど、それは事実だった。

H子のおもむろに、
「やっぱり彼氏と別れる」といった。
それは、まるで自分にいいきかせるようにいっているみたいであった。

私達は二人で手をつないで、買い物にいって、それからご飯をたべた。

だが、その時彼氏から電話があった。
「今からそっちにいくから」

H子の行動を怪しんでいた、彼氏が唐突に関西にくるのであった。
そして、H子は
「話し合って別れるから」
そう、いってくれた。
それも、また事実。

その夜。
H子から「抱いて」といわれた。
だが、私のセリフは間違っていた。
いや、間違っていなかったかも知れない。
「出来ない。答がきちんとでるまでは」
「そう」
H子の少しだけかなしい顔を今でも憶えている。

そして、一夜があけた。

第八話 「理由なき不安」

H子と二人で話し合い、彼氏が帰るまで私から連絡はとらないと約束した。

期間は1週間。
気が狂いそうだった。
それは、最後にみたH子の表情がなにかを伝えていた。
そう、まるで夢からさめたみたいな・・・

そして、1週間が経過した。
H子の表情を見た時に、私の不安は確信にかわった。
「彼氏を選んだんだね」
先にいってしまった。
「ごめんなさい」
「そっか。もう、これ以上苦しめないよ」
きょとんとH子はしていた。
「一つだけ約束して欲しい」
私は話し出した。
「絶対に幸せになれよ」

そこで、私の恋は終わった。
そこから、私はH子には一個人として接しはじめた。

そう、まだする事が残っているから。

第九話 「後始末」
そう、それは、H子に同じ過ちをして欲しくなかったから、解明をおこなった。
そう、さみしさを埋めるために、他人で補う。
そこから、かなり辛いこともH子にはいった。

偽悪的な行動もとった。
だが、H子が馬鹿でなかったから、かなしかった。
「あなたにここまでいわせたから、私、絶対幸せになるよ」
そういってくれた。
そして、変われなかったH子は徐々に変わっていった。

現在、H子とは仲のいい友人として接している。
H子はかなり強くなり、彼氏に流されていたのが、うそなくらい強くなった。

一方私は、あの時に内定を取りそびれ、H子のために、会社を作ろうとした。
それは楽しめる世界をつくるため。
だが、それも志し半ばで倒れてしまう。
過労によって。
それを知って余計にH子は強くなった。
もう、心配もない。

あれから数年してH子は結婚をして幸せでいる。
私はその事実だけで十分過ぎるくらいだ。

あの時にH子と出会えて本当に良かった。
ありがとう。


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